同じような作用の薬をのめば強力な作用が現れるし、逆の作用の薬をのめば効果が現れにくくなります。また、多種のむことによって、個々ではでない副作用がでてくるということもあります。このような効果を薬の相互作用といいます。
恐ろしいのは、2種類の薬をのめばその効果が1+1=2にはならずに、3にも4にもなってしまうことがあることです。また、せっかく薬をいろいろのんでいるのに相反する作用の薬同士が効果を打ち消しあって効果がでないというのも困りますね。最近では、ある種の抗菌剤と鎮痛剤を一緒に服用するとけいれんがおこる可能性があることがわかり、一緒に服用することを避けるようになりました。また、ある種の抗アレルギ-剤と抗真菌剤・睡眠導入剤の併用で作用の増強が報告されています。
このような薬の重複や副作用を防止するためにも他の病院、診療科でもらっている薬は診察の際に必ず医師に見せて下さい。市販の薬を服用していても同様です。よく、「血圧の薬をのんでます」とか「胃薬をのんでます」とか言われる方がいらっしゃいますが、それだけではどんな作用の薬かわからないので、やはり実物を持って来院するとか、名前のわかるものであれば薬の名前を書いてくるなどした方がよりよいでしょう。
ビ-ルやお酒などのアルコ-ル類と薬をのむと、アルコ-ルの作用と薬の作用で薬の効き目が強く現れて危険な状態になることがあります。
降圧剤の中には、血圧が一時的に下がりすぎてフラフラしたり、吐き気をもよおすものがあるので注意して下さい。
また、抗不安薬・催眠鎮静剤・血糖降下剤などは、アルコ-ルと一緒にのむと昏睡や意識障害などを起こすことがあり、注意が必要です。
その他の薬でも、作用が増強されたり、抑制されることがありますので、くわしくは医師または薬剤師にお尋ね下さい。
基本的にお薬を服用中の方はアルコ-ル類は控えて下さいね!
ワ-ファリンは、血液を固まりにくくする薬ですが、納豆を食べることによって、ワ-ファリンの作用が低下します。これは納豆菌より腸内で多量のビタミンKが合成され、このビタミンKは、血液凝固促進作用をもっているため、ワ-ファリンの作用を弱めてしまいます。この量は、大量はもちろん、通常の量でも起こってくるため、ワ-ファリンをのんでいる方は納豆を食べないように注意しましょう。ワ-ファリンの相互作用の原因となっているのは納豆菌であるため、同じ大豆からつくられた豆腐等は何の支障もありません。
ビタミンKが関係することから、ビタミンKを多く含む食物(ホウレン草、ブロッコリ-など)もダメではと思う方もいらっしゃると思いますが、これらはそれほど問題にはなりません。ただし、1回に大量に食べ過ぎたり、毎日たくさん食べ過ぎることは控えて下さい。
循環器系のお薬『カルシウム拮抗剤』は、グレ-プフル-ツジュ-スと一緒にのまないで下さい。グレ-プフル-ツジュ-スで服用すると血圧が下がり過ぎたり、心拍数を増加させることがあります。これは、グレ-プフル-ツジュ-スの苦みの成分(フラボノイド)が、関係しているといわれています。
外国での試験にこんなデ-タがあります。12人の健康な人に、カルシウム拮抗剤を水、またはグレ-プフル-ツジュ-スと共にのませたところ、水でのんだ時よりグレ-プフル-ツジュ-スでのんだ方が血液中の薬の濃度が平均約4倍(多い人で約6倍)も高くなり、吸収された薬の量も平均約2倍(多い人で約7倍)にも増えました。
つまり、グレ-プフル-ツジュ-スでのむと薬を2倍以上のんだことと同じになり、『血圧が下がりすぎる』危険性があることを示したのです。同じ薬の量でも飲み物によってこんなに違うのですから、たかが『ジュ-ス』などとあなどれませんね。
なお、オレンジジュ-スは大丈夫という結果もでています
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