薬というのは、1つの薬に対して1つの効果というわけではなく、いろいろな所に作用します。例えば、抗生物質は体の中の悪い細菌を殺しますが、同時に腸の中に常在する乳酸菌などもやっつけるので下痢や便秘を起こすことがあります。その病気に対してよく働くのが主作用で、その人に対して具合い悪くなるのが副作用となるわけです。薬によっては眠くなるという副作用がありますが、これを睡眠薬に使えば主作用となるわけです。薬は有効な作用と副作用との兼ね合いなのです。
多少、副作用があったとしても、そのまま薬を使わないで放っておいたら非常に病気が長引いたり、あるいは治らないということになるかもしれません。ただ、「この薬はこういう副作用がありますけど続けて使って下さい。」といわれる以外の症状が出た場合は、医師や薬剤師に聞くことが大切です。その症状が続いていてもいいのか悪いのかの判断を自らでくだすのは危険ですし、薬のせいではなく違う病気でその症状が起こっている可能性もあるからです。
漢方薬は、薬局で買うことができ、手に入りやすい薬です。また、医療用として1976年から、エキス剤として調合された漢方薬が保険適用となり、医師の処方のもとに病院で投薬される薬となりました。
漢方薬だから副作用がないと思っている人も大勢いらっしゃいます。薬によっては副作用が少ないということは確かですが、だからといって安易に服用すると好ましくない症状があらわれることがあります。
漢方薬の大部分は、自然界にある草根木皮が主成分です。自然派嗜好の今日、漢方もその一つですが、自然の成分を凝縮した薬ですから、食品とは違います。
漢方では、その治療の適応を決める「証」というものがあり、同じ病気でも、やせ型の人と太った人では薬は違ってきます。その人の体質に合わない漢方薬をのむと副作用がでることもあります。漢方薬をのむ時には、漢方薬を扱う医師や専門の薬剤師に相談してから処方してもらいましょう。
現在使用されている睡眠薬の大半は、睡眠導入剤といって、人が眠りにつくときその助けをしてくれる薬です。眠ってしまえば、それは自分の力で眠っているわけで薬をのんだから眠りが深いとかいうことはありません。また、作用時間も薬の種類によっていろいろあります。なかなか寝つけない人、夜中に目がさめて眠れない人、明け方目が覚めてしまう人など、薬をのむ人にも症状がいろいろあります。それに応じて医師から処方箋が出されます。一般に、今一番よく使われているものは作用時間の短いものが多いので、翌朝目覚めたとき残らないといわれています。
とはいえ、かなりの個人差もあります。また、最近では社会的な問題にもなっているようです。副作用は、その薬の主作用と必ず一緒についてまわるものです。副作用を心配して薬をのまずに何日も眠れずにいらいらするのでは決して体によくありません。日常生活にどうしても支障のある副作用と思われる症状がでましたら、遠慮なくご相談下さい。その薬によるものか、または他の病気の症状といったことも考えられるからです。
習慣性にしても多くの方が心配されますが、医師の診察を受け、相談しながら服用すれば大丈夫でしょう。自分勝手にどんどん量を増やしたりするのはやめましょう。何かわからないことがあればすぐご相談下さい。
「いつもと尿や便の色が違ってびっくりした。」という経験を皆さんもお持ちではないでしょうか。
一般には、水分やアルコ-ルをたくさん取ると、尿量は増し、色は無色透明に近づきます。逆に、水分の摂取が少なかったり、大汗をかくと、尿量は減り、色は濃い黄褐色になります。
また、食事の影響で、動物性食品を多食すると、尿は酸性になり、色は濃く、植物性食品を多食すると、尿はアルカリ性に傾き、色は薄くなります。
薬の中にも、服用することによって、尿や便の色を変えてしまうものがいくつかあります。例えば、ビタミンB2(リボフラビン)をのむと尿は黄色く、鉄剤をのむと便は黒くなることがあります。また結核の薬であるリファンピシン
をのむと尿・汗・涙・便等が赤くなったり、ソフトコンタクトレンズが赤く変色することもあります。しかし、これらの変色は問題ありません。
他にも、尿や便を赤色や緑色・白色などに変えてしまう薬があるので、「大変な病気かもしれない。」と心配する前に、気になることがあれば、医師や薬剤師にご相談下さい。
糖尿病の治療で、インスリンの注射や経口糖尿病剤(血糖降下剤)を服用している方は、危険な低血糖症を起こすことがあります。
これは、血液中の糖分が少なくなりすぎた状態で、急に強い異常な空腹感、力のぬけた感じ、発汗、手足のふるえ、眼のちらつき等が起こったり、また頭が痛かったり、ぼんやりしたり、ふらついたり、いつもと人柄の違ったような異常な行動をとることもあります。空腹時に起こり、食物を食べると急に良くなるのが特徴です。
はなはだしい場合には、けいれんを起こしたり、意識を失うこともあります。低血糖は危険な状態ですから、このようなことが起こらないように注意し、もし起こったら、軽いうちに治してしまわなければなりません。
薬の量や飲み方、また食事など主治医の指導を正しく守ることが大切です。
なお、低血糖症が起こっていることを本人が気がつかなかったり、わからなかったりすることがありますので、家族やまわりの方も一緒に注意して下さい。
Copyright(C) Ikeda Municipal Hospital Rights Reserved.