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看護部

糖尿病の教育入院治療について

教育入院とは

糖尿病の教育入院は、患者さんが自分の病気について深く理解し、日常生活での適切な管理方法を学ぶためのプログラムです。この入院期間中、専門の医療チームが患者さん一人ひとりに合わせた指導を行います。
 
主な目的は、血糖管理、適切な食事や運動の方法、薬の正しい使い方、自己血糖測定の技術など、糖尿病を日々管理する上で必要な知識やスキルを身につけることです。また、糖尿病による合併症の予防や早期発見のための情報も提供されます。
 
教育入院では、医師、看護師、栄養士、理学療法士など、多職種の医療スタッフがチームを組み、患者さんの状態を詳しく評価します。その上で、患者さんが日々の生活の中で直面するであろう様々なシチュエーションに対応できるよう、実践的なアドバイスを提供します。
 

 
教育の内容には、次のようなものがあります:

血糖管理:血糖値が安定するようにするための基本的な知識と自己管理の技術

食事療法:糖尿病に適した食事の選び方や食事計画の立て方

運動療法:血糖値をコントロールし、全体的な健康を促進するための運動の方法

薬物療法:糖尿病の薬についての知識、正しい服用方法とその効果、副作用

自己モニタリング:自分で血糖値を測定し、記録する方法

治療薬(SGLT2阻害薬やGLP1受容体作動薬など)に関する効果について

糖尿病治療薬の進化に伴い、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬などの新しい薬剤が登場し、従来の治療法に比べてより効果的な血糖管理と疾患管理を実現しています。

SGLT2阻害薬について

SGLT2阻害薬は、腎臓のSGLT2(ナトリウム依存性グルコース共輸送体2)を阻害することにより、尿中にグルコースを排泄させる作用を持ちます。これにより、血糖値の上昇を抑制し、体重減少を促進します。また、血圧や尿酸値の低下、心血管リスクの軽減といった追加の利点も報告されています。さらに、心不全患者においても有益な効果があるとされ、心血管系の合併症の予防にも役立ちます。
 

GLP-1受容体作動薬について

GLP-1受容体作動薬は、膵臓からのインスリン分泌を促進し、食後の血糖値上昇を抑制します。また、胃の排出遅延や食欲抑制効果もあり、体重減少に寄与します。さらに、心血管系のリスクを軽減し、脂質異常症の改善、腎保護効果などの追加的な利点も報告されています。
 
これらの新しい治療薬は、従来の経口血糖降下薬やインスリン療法と組み合わせて使用されることが一般的です。個々の患者の状況やニーズに合わせて適切な治療計画が立てられ、血糖コントロールと合併症の予防が最適化されます。
 

持続血糖モニタリング(CGM)について

CGMの概要

CGMシステムは、皮下組織に挿入される小さなセンサーを使用して血糖値を監視します。このセンサーは数分ごとに血糖値を測定し、そのデータを無線で受信器やスマートフォンアプリに送信します。患者や医療提供者は、これらのデータを見ることで血糖値のトレンドを把握し、低血糖や高血糖の事前警告を受け取ることができます。
 

CGMのメリット

CGMは、特に以下の点で糖尿病管理に役立ちます。

血糖値の変動把握

日々の生活や食事、運動が血糖値にどのような影響を与えるかを詳細に追跡します。

低血糖・高血糖の警告

予期せぬ血糖値の変動を早期に検知し、適切な対応を促します。

治療計画の最適化

医師はCGMから得られるデータを基に、薬剤の調整や生活習慣のアドバイスをより適切に行うことができます。
 

教育入院でのCGMの活用

教育入院中にCGMを利用することで、患者は自身の血糖コントロールに対する理解を深めることができます。例えば、特定の食品が血糖値に与える影響や、運動が血糖値をどのように下げるかなど、具体的な学習が可能です。また、CGMデータを基に、医療スタッフは個々の患者に合わせた具体的なアドバイスを提供できます。

CGMの導入と教育

CGMの導入は、患者が糖尿病をより良く管理するための第一歩です。教育入院では、CGMデバイスの装着方法、データの読み方、そしてその情報をどのように活用するかについて、実践的な指導が行われます。また、患者は自分自身の生活パターンと血糖値の関連を理解することで、自己管理能力を高めることが期待されます。
 

当院の教育入院について

対象となる方

糖尿病と診断されている方

健康診断などで糖代謝異常(HbA1c 6.5%以上)を指摘された方

入院までの流れ

かかりつけ医より地域医療連携室を通して当院の糖尿病専門外来の予約をお取り頂きます。

外来にて医師と相談の上、入院日や入院期間を決定します。

入院期間

HbA1c7%未満:平日2泊3日もしくは週末(金曜入院、翌週月曜退院)

HbA1c7%以上:1週間もしくは2週間

基本的には血糖コントロールが不良であったり、合併症が重篤であるほど入院期間は長くなります。

入院内容

糖尿病治療食による食事療法を行いながら、薬物療法(インスリン、GLP1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など)を行い、良好な血糖コントロールを目指します。
血糖測定は1日4~6回施行します。同時に糖尿病に関連する合併症検査(眼、腎臓 神経、足病変、動脈硬化、悪性腫瘍)を行います。
 
また、自宅で食事・運動療法を継続できるよう、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など多職種の専門家が支援を行います。
 
さらに血糖自己測定・CGM(持続血糖モニタリング)などの方法も指導します。退院後も糖尿病専門外来や併設する糖尿病センターにて、良好な血糖コントロールを達成し合併症が進行しないようサポートいたします。
 

まとめ

教育入院を通じて患者さんは、自分自身の病気に対する理解を深めるとともに、糖尿病という病気と共に健康で活動的な生活を送るための自信と能力を身につけることができます。また、医療スタッフとの密接なコミュニケーションを通じて、個別の疑問や不安について相談し、解決策を見つける機会も提供されます。
 
このように、糖尿病の教育入院は、患者さんが自己管理のための知識と技術を習得し、糖尿病という病気と上手に付き合っていくための第一歩となります。
 

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市立池田病院 072-751-2881