帯状疱疹(たいじょうほうしん)
はじめに
痛みのある水ぶくれ(神経痛と水疱)
帯状疱疹は“神経痛と水疱”を一定の神経支配領域に生じる疾患であり、高齢者では帯状疱疹後神経痛を起こすこともあるため、初期治療が非常に重要です。特に、顔面に生じた場合には目や耳にも病変が広がる場合があり、ヘルペス性角結膜炎やハント症候群を合併することもあり、皮膚科だけではなく、眼科や耳鼻科の受診が必要となります。
初期には痛みのみで、典型的な水疱がないこともあり、診断が難しいことがあります。そのような場合には、部位にもよりますが、脳外科や整形外科、神経内科など、いろいろな診療科を受診されることもあるようです。市立池田病院の帯状疱疹への取り組みをご紹介しましょう。
大畑 千佳
症状
帯状疱疹の汎発疹
帯状疱疹は一定の神経支配領域にのみ水疱が生じる疾患ですが、時に、領域を超えて、全身性に同様の水疱が見られることがあります。これはウイルス血症による汎発疹であり、高齢者や免疫低下状態のときによくみられます。
免疫不全と帯状疱疹
担癌患者や膠原病患者などで免疫低下状態にある場合には症状の強い帯状疱疹が生じることがあります。
軽症の帯状疱疹では水疱は粟粒大から小豆大でほぼ均一ですが、重傷の帯状疱疹では水疱の大きさに大小不同があり、壊死性の皮疹を伴うこともあります。
ハント症候群
耳周囲に帯状疱疹が生じている時は、ハント症候群に注意が必要です。ハント症候群では難治性の顔面神経麻痺が生じることがあるため、耳に皮疹が生じた場合は、かならず、当院の耳鼻科へ紹介しています。不幸にして顔面神経麻痺の症状が出た場合には中等量のステロイド投与が必要です。
しかし、高齢者の場合には糖尿病を合併していることも多く、ステロイド投与に関して、耳鼻科医だけでなく、糖尿病専門医にも相談し、治療方針を決める必要があることもあります。
他科との連携
耳鼻科専門医や糖尿病専門医と連携します。
痛みの治療とペインクリニック(帯状疱疹後神経痛)
当科では痛みに対する治療として非ステロイド抗炎症薬を投与します。それでもおさまらない場合はスーパーライザーという近赤外線治療器を用います。
三環系抗うつ薬のトリプタノール等を用いることもあります。他院で帯状疱疹を治療された後に帯状疱疹後神経痛で来院される患者さんの多くはトリプタノール投与によって痛みが軽減されます。
それでもおさまらない場合は当院のペインクリニックで麻酔科医による神経ブロックを受けていただくことを検討します。
診断
Tzanckテスト
中心臍窩を有する粟粒大の典型的な水疱があれば診断は極めて容易です。ですが、水疱と認識しがたい小さな傷のような皮疹が数個しかないこともあります。そのような、非典型的な皮疹であっても、当科では簡易ギムザ液を用いたTzanckテストを行い、ウイルス性巨細胞の有無をその場で判別し迅速かつ正確な診断をつけることが可能です。
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[検査] |
多数のウイルス性巨細胞 |
治療
抗ウイルス薬と腎機能障害
帯状疱疹の治療薬であるアシクロビルやバラシクロビルは、腎機能に応じて投与量を決める必要があるため、治療開始前に腎機能チェック (BUN、Cr) を必ず行っています。高齢者では、治療途中で腎機能障害が生じることもあるため、投与開始数日で再検査を行います。腎機能が悪化した場合には腎臓病専門医にコンサルトします。他の医療機関で、抗ウイルス薬が大幅に減量されて投与されている例があるようですが、量が不十分では神経痛がおさまらないことも多いため、適切な量を決定し投与することは大変重要です。
他科との連携
腎機能が悪化した場合には当院の腎臓病専門医にコンサルトします。








